
谷崎潤一郎の猫好き、――それはあたかも恋人を愛するのと同様でした。
彼のエッセイには猫への愛情が惜しみなく述べられており、作品では猫が効果的に描かれ、躍動感と現実感を与えています。
中でも中期の代表作『猫と庄造と二人のをんな』には、猫をめぐった三角関係が描かれています。
女性よりも愛猫を渇望する庄造の姿は、そのまま谷崎の猫を愛する心理のあらわれと言えるでしょう。
一方で、谷崎は犬も飼い、代表作『蓼喰う虫』『台所太平記』などに描き、作品に明るさやユーモアを与えています。
温度差はあるものの、犬にも愛情を注ぐ谷崎の姿が垣間見られます。
その反面、『狆の葬式』『日本に於けるクリップン事件』といった作品では、犬を通して死や殺人事件などを描いており、
人間の心理や社会の暗部を投影させているのです。
谷崎 潤一郎氏が「蓼喰う虫」を執筆した際に使用した机
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